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フランス自動車産業における賃金・雇用・女性労働活用に関する調査

経済学科 教授 荒井壽夫
3月15日(木)、CGT担当者からルノー社における90年代後半以降の賃金・雇用そして最近のゴーン会長による3ヶ年プロジェクト等に関して聴き取り。
賃金については、この間の一般的昇給が企業の利益と物価上昇に比例して増加していない、すなわち購買力の確保が実現されていない状況にある。それゆえ、賃金交渉において、CGTはこの間、一度も署名していないこと。個別的昇給に関しては、全ての従業員に関係してはいないこと。その決定権限は職制にあること。
雇用については、安定的雇用(CDI)は、経営・生産戦略に規定される面が大きいので、労働時間短縮だけでなく国内各事業所における複数車種の生産組立等の対案を提起していること。不安定雇用(CDD)は景気とモデルチェンジによって変動すること。派遣契約従業員は18ヶ月超過でCDIへの転換という法律的歯止めゆえに連続的に増加するわけではないし、それに近い状況になれば労組として反対を表明していること。
カルロス・ゴーン会長による昨年2月9日付の3ヶ年プロジェクト「ルノー契約2009」に関して。それは、社会的側面に関する言及がない、生産数量・車種の提起はあるが生産する場所の言及がない、新車開発投資に関して一定の利益率確保を条件としている、等の問題を抱えていること。労組として対案「産業プロジェクト」を提起していること。
3月19日(月)、人的資源部の従業員でCGT組合員から女性労働活用について聴き取り。2004年2月17日付協定に関して労組CGTが署名していないのは、前文において従来の職業的男女差別を認めていないことによるし、また35時間協定のフレキシビリティ=変形労働時間制に大きな問題があることにも関連していること。協定自体は重要な前進。女性従業員はパートも含めて一定の増加あり。本社の情報パッケージ「サンプリシム」やドゥーエ工場近くの合同保育園の設置が積極的事例として挙げられること。
上記の聴き取り調査に関する感想・希望としては、賃金・雇用の説明時に、一部のデータのみが示され、全体的なデータは企業の最新の「社会関係総括書」刊行の折にファイル送付してくれることになり、その場では不十分であったという感想。また女性労働活用に関しては改めて人的資源管理部を直接訪問して調査する必要を感じた次第。
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