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中央銀行の本質に関する研究 ―銀行券の発行と「最後の貸し手」機能等を中心としてー

ファイナンス学科 教授 小栗誠治
○ 現在、わが国をはじめ多くの国々において、中央銀行が発行する銀行券を法貨(リーガル・テンダー)と定め、銀行券の発行は中央銀行が独占的に行う発券制度が採られている。しかし、近年、欧州での共通通貨ユーロの出現、自国内での外国通貨の使用拡大(例えば「ドル化」等)、さらに様々な地域通貨の流通といった通貨を巡る特徴的な動きが顕著になっている。こうした動きは、いずれも、中央銀行による銀行券の独占的発行という現行の制度について、改めて根本的な検討を迫るものである。
○ 本研究は、銀行券を取り巻く環境が大きく変化し、中央銀行のあり方がクローズアップされる状況の中で、中央銀行の本質の解明にチャレンジするものである。具体的には、以下の視点から中央銀行の本質の解明に迫る予定であるが、このうち、平成18年度は、主として中央銀行のシーニョレッジに関する研究を精力的に行った。
(1)銀行券の発行に関して、通貨高権、シーニョレッジ、中央銀行券の債務性、政府紙幣といった根本にかかわる問題を考察する。
(2)中央銀行の「最後の貸し手」機能について、バジョット、ソーントン等の再検討、「最後の貸し手」機能の理論的分析、「最後の貸し手」機能の発動事例の分析を行う。
○ 中央銀行のシーニョレッジに関して、以下の形で研究成果を公表した。
「セントラル・バンキングとシーニョレッジ」滋賀大学経済学部研究年報第13巻、平成18年12月、pp.19-35.
本論文の目次を示せば、以下のとおりである
はじめに
(1)セントラル・バンキングとしてのシーニョレッジ
1.セントラル・バンキングの本質とシーニョレッジ
2.銀行券の発行とシーニョレッジの発生プロセス
3.貨幣(硬貨)の発行と古典的なシーニョレッジ
4.シーニョレッジを巡る諸問題
(2)シーニョレッジの定義
1.シーニョレッジの定義
2.シーニョレッジの定義の定式化と両者の関係
(3)シーニョレッジの大きさ
(4)シーニョレッジの政府への納付
1.シーニョレッジの捉え方
2.シーニョレッジの国庫納付に関する工夫
3.わが国中央銀行の利益処分方法の特徴
むすび
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