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アジア共通通貨圏構想の実現可能性についての研究

ファイナンス学科 教授 有馬敏則
1.研究概要
本研究は、1973年2月~3月にかけて日本や先進諸国が相次いで変動相場制に移行して以来34年目になる現在、最適通貨圏の理論をアジア地域に適用して、アジア共通通貨圏実現のための基礎的条件と阻害要因を検討し、その実現可能性について考察しようとするものである。なお最適通貨圏の理論は、最適通貨圏内を固定相場制に、対外的には変動相場制にして国際収支調整を弾力的に行うというもので、その分類基準をいかに設定するかが現在最も注目されている。

2.研究実施方法および経過等
次の項目について理論的・実証的研究を行った。
(1)最適通貨圏の議論の提案者である1960年代後半のマンデル(RA..Mundell,)の「生産要素移動性の基準」からマッキノン、ケネン、イングラム、ゾーメン、ハーバラー、フレミング、マハループ、グラウブ、スナイダーの「総合的基準」から現在に至るまでの、最適通貨圏理論のサーベイと最新の理論についての検討を行った。
(2)欧州連合(EU)の統合のプロセスの検討と拡大EUの現状分析を通じて、最適通貨圏形成によるメリット・デメリットの考察を行った。
(3)アジアにおける決済通貨、対外準備通貨、媒介通貨についてのドル、ユーロ、円の実証的研究を行った。
(4)アジアにおけるドル、ユーロ、円に関する金融資本市場の現状分析と育成政策の検討を行った。
(5)アジアにおける共通通貨圏形成のための経済的・社会的・文化的・思想的・宗教的・教育的・歴史的阻害要因の考察を行った。
上記の理論的実証的研究の遂行とともに、貿易・金融実務家や国際通貨論専門家とアジア共通通貨圏形成の可能性と課題についての討議を行い、アジア共通通貨圏構想の実現可能性について検討した。

1. 本研究による研究成果の一部を、下記の『彦根論叢』に公表した。
 有馬敏則「ヘッジファンドの構造変化とリスク管理」『彦根論叢』第364号(原田俊孝教授退職記念論文集)、平成19年1月、pp。97―116.
2.本研究による研究成果は、平成19年夏の『彦根論叢』に掲載予定である。
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