「くずし字AI-OCR技術」は和式簿記法研究のハードルを下げるか? ―小倉榮一郎著『江州中井家帳合の法』の追試とエビデンスの付与―
実験対象とした史料は、次のとおりである。これらについて、上述のとおり「ふみのは®」による翻刻と小倉による翻刻をもとに作成した解答例を対照表示した資料の作成を行った。作成した資料の総点数は、190点である。
①本家
・店卸帳(寛政9年~文化3年)(史料館請求番号:133)
②仙台店グループ
・元方:酉店卸目録(史料館請求番号:10181)
・見世:酉店卸目録(史料館請求番号:10262)
・質店:酉質店卸目録(史料館請求番号:10344)
③押立店
・店卸書抜帳(史料館請求番号:11829)
・金銀差引帳(史料館請求番号:11830)
・酉年店卸勘定帳(史料館請求番号:11819)
・戌年店卸勘定帳(史料館請求番号:11821)
④香良洲店
・酒売場控帳(史料館請求番号:13212)
・給金帳(史料館請求番号:13219)
・申年店卸下書(史料館請求番号:19870)
・問屋仕限帳(史料館請求番号:13218)
・金銀出入帳(史料館請求番号:13137)
・申歳店卸目録(史料館請求番号:19871)
・大福帳(史料館請求番号:13135)
現在、研究成果の取りまとめとしてワーキングペーパーを執筆中であるが、公開する資料の点数が190点と膨大となったため、「本編」と「資料編」に分けて公表する予定である。その後、本研究をふまえ、引き続きTOPPAN株式会社からのサポートを受け、学外の研究者らとともに、和式簿記法をテーマとして科研費・挑戦的研究(萌芽)に応募予定である。
また、2024年3月、本研究に関して学外にて発表(「くずし字AI-OCR「ふみのは」を用いた会計史料(中井源左衛門家文書)の翻刻実験―仙台店グループ、押立店、香良洲店を題材として―」武蔵経済セミナー(於武蔵大学))の機会を得た。