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4大会計事務所(Big 4)の『IFRS基準実務書』に基づく引当金会計実務の調査・研究

会計情報学科 准教授 赤塚 尚之

   2023年3月に論文「引当金(IAS第37号)の測定における不履行リスクの取扱い―割引計算に用いる利子率に不履行リスクを反映すべきか?―」(彦根論叢第435号)を公表した。
 IAS第37号「引当金、偶発負債、および偶発資産」は、引当金の割引計算を行うに際し「不履行リスク(自己の信用リスク)」を反映すべきか、明確にしていない。また、不履行リスクの取扱いを決定することは、「会計方針の選択」の範疇にあると解されることもある。このような事情により、不履行リスクの取扱いをめぐる会計実務が法域や業種を問わず多様化し、引当金額の企業間比較が困難となっている。
 これについて、国際会計基準審議会(IASB)の「維持管理プロジェクト」に分類されるプロジェクトである「引当金―的を絞った改善」(以下、「引当金プロジェクト」)は、不履行リスクの取扱いを検討対象としている。本稿は、引当金プロジェクトの動向をふまえ、引当金の割引計算における不履行リスクの取扱いを検討するものである。なお、引当金プロジェクトは、IASBが2018年に公表した概念フレームワーク「財務会計に関する概念フレームワーク」を考慮外としている。また、引当金プロジェクトは、現在、利害関係者の意見を集約しているところである。本稿は、このような現実の基準設定における制約をふまえ、「現行基準を所与としたうえで、不履行リスクの取扱いを演繹的に決定するアプローチ」を採り、より理念的な取扱いを明らかにすることとした。


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