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インド会社法改正に伴う女性取締役登用の義務づけが企業価値評価に及ぼす影響―日本を含むアジア諸国における「アファーマティブ(ポジティブ)アクション」の是非に対する示唆を求めて―

会計情報学科 准教授 赤塚 尚之

 本研究は、女性取締役の登用を義務づけるというユニークな規定を設けたインドの2013年会社法の有効性を検証し、当該規定がインドにおける女性の社会進出の一助となっているのか判断することを目的としている。あわせて、分析上の副産物として、企業の3年間の純利益額の平均の2%以上の額をCSR活動に支出するというインド2013年会社法の規定の有効性も検証することも目的としている。
そして、これらの検討・検証をつうじて、日本を含むアジア諸国の会社法に同様の規定を設け、女性取締役の登用とCSR活動への支出を法的に義務づける可能性について検討を行うことが、本研究の最終的な目標である。
本研究は、次の3つのステップに基づき行う。
①インド会社法の該当規定を正しく理解し、この段階でのアウトプットを日本に紹介する。
②インド上場企業のデータをもとに、実証分析を行う。
③②に基づき、上記検討を行う。

現状、②(記述統計)まで終了している。
上記①については、赤塚個人の成果として公表を行う。すでに公表したのは「インドのMandatory CSR―関連法規と会計指針」(『彦根論叢』第420号)である。他の個人研究(研究叢書の審査の遅れによる出版年度の遅れ)の影響もあり、女性取締役の登用に関する①の成果については、インド会社法のコーポレートガバナンス規定を整理し、『経済学部研究年報』第27巻において公表予定である。
また、CSR関係については、その後改正が行われた内容を反映すること、および2月にインドへ渡航して現地会計事務所(PwCおよびErnst & Young)に聞き取り調査を行った内容を反映することを目的として、再度『彦根論叢』第425号において公表予定である。
 したがって、個人としての研究成果は、3編(いずれも単著)となる。

 上記②および③については、本研究に関連して、日本私立学校振興・共済事業団「2019 年度学術研究振興資金(The Science Research Promotion Fund)」(研究課題:アジアにおける女性の経済・政治活動への参加拡大とそのインパクト)を獲得しており、共同研究として行う。 進捗状況としては、3月上旬の時点において、上述のとおりインド上場企業データの正確性を確認したうえ(インドでの聞き取り調査を含む)で分析を行い、記述統計の算出まで終了している。
 それをふまえ、3月下旬に東京にて研究成果の公表に向けた打ち合わせを行う予定であったところ、新型コロナウイルスの影響によりキャンセルとなったため、研究がストップしている。教務関係等の対応でしばらく研究がストップしてしまうことも予想されるが、2020年度内に②③に関する研究成果を公表し、公的学会または私的研究会(上記助成の成果報告会)において研究発表を行う予定である。共同研究の成果は、女性取締役の登用とCSR活動への支出の義務づけの有効性につての2編(いずれも共著)を予定している。

なお、研究期間の4分の1程度はサバティカル期間に該当し、2020年3月まで武蔵大学客員准教授を拝命し、武蔵大学の施設を使用することができ、共同研究の長期にわたる打ち合わせをスムーズに行うことができた。 本学においては、サバティカル研修の取得をお認め頂いたこと、ここに改めて御礼申し上げる。

その他、本研究の成果については、2020年度経済学部夜間主(秋学期)開講リレー科目「社会システムへの招待」において取り上げ、学生にも還元していく予定である。

 


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