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左川ちかを中心とした女性詩に関する研究、及び共同研究としての英訳詩集編纂

社会システム学科 准教授 菊地 利奈

 本助成金は、これまでおこなってきた女性詩に関する共同研究を発展させるための海外渡航費として申請したものである。
本海外渡航では、(1)1930年代前半に活躍したモダニズム女性詩人・左川ちかを起点とした、日本女性近現代詩の研究の発展、 (2)女性詩研究の一環としておこなっている、日本女性近現代詩の対訳アンソロジー出版のための英訳作業を目的とした。
 (2)は、オーストラリア国立大学教授のキャロル・ヘイズ氏とおこなっているものであり、共訳作業の継続と発展のためにはオーストラリア国立大学での共同研究時間確保が重要な鍵となった。滞在中に、
(1)左川ちかの詩及び散文の対訳を完成させ、ワーキングペーパーとしてまとめて発行(ワーキングペーパーNo.221 「Selected Translations of Sagawa Chika's Poems II」、 滋賀大学学術情報リポジトリにて公開)、
(2)ウェスタンミシガン大学発行の文学誌『Transference』に論考を投稿、
(3)新井高子の英訳を対訳でまとめ、ワーキングペーパーとして発行した(ワーキングペーパーNo.222 「Two Poems by Arai Takako」 滋賀大学学術情報リポジトリ にて公開)。
 同時に、滞在中に、4月19日に奈良県明日香犬養万葉記念館にて開催される「日本詩歌にみる近現代女性象<翻訳と朗読>の会」の準備と打ち合わせをおこなった。
 また、3月24日~25日にかけてオーストラリア国立大学にて、韓国の高麗大学との共催で開催された「The Interface of Japanese Language Literature: 日本語文学のインタフェース」に出席し、 「現代女性詩作品にみる<わたし>と<女性性>―女は女をうたわなければならないのか―」という題目で研究発表をおこなった。高麗大学の日本文学研究者たちと議論をかわし、刺激になった。
 滞在中に、上述のヘイズ教授に加え、シドニー大学教授のヤスコ・クレアモント氏と私の3名で、「New Poetic Voices: Women Poet's Poetic Experimentation」とのタイトルで、パネルを企画。 「Women's Modernist Poetry in 1930s Japan : Sagawa Chika and her contemporaries」というタイトルで発表をおこなう要旨をまとめた。 本パネルは、2015年6月30日~7月5日までオーストラリア・メルボルン・ラトローブ大学で開催されるJSAA 2015 Conference (Japanese Studies Association of Australia) にて発表することが決まった。
 また、本滞在中に、2015年9月30日~10月2日にシドニー大学にて開催される第二次世界大戦終戦70周年を記念して開催される学会 「WOUNDS, SCARS, AND HEALING: CIVIL SOCIETY AND POSTWAR PACIFIC BASIN RECONCILIATION」での研究発表に声がかかり、日本女性詩人による戦中詩についての発表計画をすすめている。
 本滞在中におこなった女性詩人作品の英訳は、対訳詩集アンソロジーとして出版を計画している。同時進行中の左川ちか詩・散文の英訳についても、対訳詩集としての出版を計画している。 詩の英訳をすすめるとともに、女性詩についての研究をすすめ、随時学会等で発表をおこない、発表にもとづいた研究論文をまとめ、今後もワーキングペーパーや学会誌にて発表をつづけてゆく。


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