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近代日本製麻業の研究―近江商人の関東並びに北海道での活動を中心に―

経済学科 教授 筒井 正夫
  1. 国立国会図書館の吉田健作関連資料は、主として吉田が政府の勧業官僚として近江麻糸紡織会社の設立に尽力した際に、国家官僚や滋賀県知事、同僚の勧業官僚との間に交わした書簡である。 今回は、その宛名、概要を摘記する整理を行った。
  2. 早稲田大学原田文庫では、麻工業に関する17の貴重文献に関して調査した。その中で、特に以下3点については撮影とともに内容要約に努めた。
    ・『産業提案参考書 麻ニ関スル調査書』『日本苧麻興業意見』『特別報告 栃木県ノ大麻』
  3. 帝国繊維本社資料に関しては、社史編纂時に収集した営業報告書や各種麻栽培に関する指導書、明治期の会社経営に関する報告書、大正昭和期にかけ ての『社報』等、合計40点を超える貴重資料の調査を実施した。特に毎月発行される『社報』は、会社経営に携わる経営陣の訓令、会社の年中行事、諸規則、従業員の消息など、会社経営の実態を反映した記録が細かく記されており大変貴重な一時次資料である。 これらは経済経営研究所の支援を受け、私が監修して目録の作成と貴重文献・資料の作成等を行い、広く学術研究の進展のために公開できるよう準備している。
  4. 栃木県立図書館では、下野製麻の資料は発見できなかったが、『野州麻の生産用具』『野州麻作りの民俗』など野州麻に関するものや下野製麻の経営に係わった瀧澤吉平治に関する伝記史料などを見出すことが出来た。
  5. 石川県立図書館では、近世から近江商人が交易したのと上布に関する資料を探査した。その結果『加賀藩の布生産と野と上布』『能登上布 日本の村落工業に関する事例研究』ほか貴重な文献資料を見出した。
  6. 岡山県の倉紡記念館等に収蔵されている大原財閥関係資料に関しては、麻布業だけでなく広く綿糸布、化学繊維等にも視野を広げて、特に近代滋賀県企業と関連する史資料を調査した。
 以上、精力的に史料調査を行ったが、東京の帝国繊維本社資料が両質ともに貴重なものが多く、経済経営研究所の支援を得て目録作成と撮影、内容読解に努めた。
 今回は、これら収集資料を用いた研究発表には至らす、仮目録の作成に留まったが、今後は経済学部のワークショップ等に資料紹介等から発表し、それをもとに『彦根論叢』に帝国製麻株式会社に関する論考をまず発表していきたい。

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