近江国にかかる古文書購入
史料館長 教授 宇佐美 英機
本基金により6件の古文書を購入した。これらは、1.寛文九年江州野洲・栗太・蒲生郡御代官所在之絵図、2.滋賀県蚕糸業規約、3.近江蚕桑改良同盟申合規約、4.近江国新町村全図、5.江州神崎郡五ケ村口書写、6.滋賀県神崎郡八日市町文書である。1.は永原代官所の支配村々が描かれたもので、1669年時点の支配村々が子細に描かれており、これまで永原代官所にかかるものは収蔵しておらず貴重なものである。2.3.は明治期の養蚕に携わる業者の仲間規約であり、生業の様子を知る上で有益である。4.は明治期の近江国全図を印刷したものである。これは他に所蔵する絵図と比較することにより湖岸線の変化などを視認するうえで興味深いものである。5.は水利争論の経過と解決の遂行状況がわかるもので、当該地の自治体史で取り上げられた史料と付き合わせることにより、新知見が期待できる。6.は明治期の浜野村の講関係史料である。既刊の八日市市史では検討されていないものであり、今後の分析が期待できる。
以上のように、いずれの史料も新知見をもたらす可能性をもつものであり、とりわけ絵図類は史料館の展示史料として教育・研究活動に役立つものといえる。
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