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アジアをめぐる人の移動の比較文化研究

社会システム学科 助教授 阿部安成

 上記テーマを研究するために、本事業は次のとおり3つの領域を設定した。
(1) 20世紀前期の高等商業学校によるアジアへの修学旅行の考察、(2) 近世日本の信仰と旅、また近江商人の旅の考察、(3) 現代アジアをフィールドとする転居とネットワークの考察。
 それぞれの領域について本事業では、次のとおりの資料調査・資料収集をおこなった。
 (1) 早稲田大学染谷記念国際会館で開催された国際学術交流「「近代移行期における東アジアの民衆のあり方を比較し、連関を考えるための国際的ネットワーク」構築のためのワークショップ2」への出席と意見交換、国立国会図書館にて彦根高等商業学校卒業生の執筆によるアジア関係図書の調査・閲覧と小樽高等商業学校関係文献の調査・閲覧・収集。
 (2) 財団法人無窮会専門図書館にて、同館所蔵の神習文庫にある「琵琶湖志」などの複写。
 (3) 国立国会図書館と都市再生機構都市住宅技術研究所にて、日本の団地開発・再開発、団地住民の転居にかかわる資料の調査・収集。
 さきに記した(1)の領域では、国際シンポジウムに出席して韓国の歴史研究者と意見交換をおこない、国際比較史の観点について教示を得た。この観点は、今後、本共同研究事業の全体成果をまとめるうえで有益となろう。また資料調査により20世紀前期の高等商業学校における修学旅行の史料を閲覧・収集することができ、その日程、旅程、そこでの知の発現について明らかにすることができた。この研究成果については、平成18年度に発行される『彦根論叢』への掲載を予定している。
 同じく(2) の領域では、伊勢から近江・美濃経由で京都にむかう過程での、近江旅行中の記述が詳しい旅日記や、堅田の人物が記した地誌を収集した。どちらも日本近世の旅行史の研究をすすめるうえでたいへん重要な史料であり、その翻刻による公表も課題として考えている。史料の内容については、現在検討中であるが、平成18年5月13・14日に目白大学新宿キャンパスで開催される「第32回交通史研究会大会」において、「近世旅行史上における近江国」の論題での報告を予定している。
 同じく(3) の領域では、現在収集資料を分析中である。今後、団地住民の転居動態および団地再開発に関する、日本とシンガポールの比較社会学的研究の一環として研究成果を発表する予定である。
 さらに、(1)~(3)それぞれの領域における成果をふまえて、本共同研究事業の全体成果をまとめる予定である。
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