経済学部

TOP研究と社会連携経済学部研究情報陵水学術後援会学術調査・研究助成による研究成果陵水学術後援会学術調査・研究助成による研究成果H23 ≫ 20世紀前期日本の高等商業学校における教養と実学

20世紀前期日本の高等商業学校における教養と実学

社会システム学科 教授 阿部 安成
研 究 成 果
 本助成金による学術調査・研究は、本学部の母体となった彦根高等商業学校と同系の高等教育機関である長崎高等商業学校の夜学教育を対象とするものである。
 20世紀前期の日本の外地をふくむ帝国の領域に設置された高等教育機関としての高等商業学校史の研究は、まだその蓄積が充分ではなく、とりわけ、高等商業学校に在籍した生徒たちの活動についてはよくわかっていない。くわえて、高等商業学校における生徒とは、正規の3年制の在籍者だけではなく、長崎高等商業学校、大分高等商業学校、神戸高等商業学校などで実施された夜学教育においては、非正規のいわゆる社会人にも勉学の機会が提供されていた。しかし、そうした高等商業学校の夜学教育については、ほとんどその実態が把握されてこなかった。
 長崎高等商業学校における夜学教育については、研究報告者阿部がこれまでに本学教育研究プロジェクトセンターにおいて実施した「20世紀前期日本の高等商業学校スタディーズ・プロジェクト」によって関係史料を調査し、長崎大学経済学部東南アジア研究所に保管されていることがわかった。同研究所が所蔵する関係史料は、長崎高等商業学校における夜学教育を受講していた生徒の実相や講義の内容の記録であり、こうした史料は、現在の時点において、研究報告者阿部の知るかぎり、ここにしか残っていない極めて貴重な文書群である。(長崎高等商業学校夜学教育関係史料についてはすでに、阿部安成「夜に学ぶ:20世紀前期の長崎高等商業学校における1万2036人への実務教育」滋賀大学経済学部Working Paper Series No.144、2011年1月、をとおして発表した)。
 こうした調査、研究の実績をふまえた本学術調査・研究は、長崎大学経済学部東南アジア研究所が所蔵する長崎高等商業学校夜学教育関係史料の適切な保存をすすめ、かつそれを用いた研究の進展をはかることを目的とした。この史料群は膨大な量があり、一部を残したとはいえ、そのおおよそをデジタル撮影することができた。デジタル化によって、閲覧のばあいにはそのデジタルデータを活用できることとなり、原史料の適切な保存環境が整えられることとなった。
 また、研究報告者阿部が研究代表者として2011年度に申請した科学研究費補助金が採択され、2012年度から2014年度までの3年間にわたって、科学研究費基盤(C)において高等商業学校を対象とした調査、研究が実施できることとなった。高等商業学校を母体とした本学部において、高等商業学校研究で科学研究費補助金が採択された例はこれまでになく、この点はこれまでの本学ならびに陵水会による研究助成の賜と考えている。
 2011年度に収集した史料を用いた高等商業学校における夜学教育の研究成果は、今年度に発行予定の滋賀大学経済学部Working Paper Seriesなどで発信してゆくことを計画している。
結果発表
 1.結果発表の時期 2012年度
 2.結果発表の方法 滋賀大学経済学部Working Paper Seriesなど。
研究成果一覧のページに戻る