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GIS(地理情報システム)を活用したマクロ経済モデルによる金融政策効果の実証分析

経済学科 准教授 得田  雅章

研 究 成 果
 ヘドニック・アプローチに基づく地価関数の推定を、GIS(地理情報システム)というツールを活用しつつ研究を進めてきた。 この研究はH21年度からスタートさせているものだが、分析エリアを県レベルから順次拡大させてきたものが本研究にあたる。
 一連の成果物において、実証分析過程ではクロスセクショナルな分析をメインとしながらも、時系列的側面も考慮してきた。 住宅地価格のリード・ラグ関係および、住宅地が属する特性が当該住宅地価格にどの程度影響を及ぼすのかを定量化してきた。 本研究期間における最終成果物に相当する滋賀大学経済学部研究年報掲載論文では、以下の成果をあげた。
 土地資産の価格形成およびマクロ経済における位置づけについて、理論面からの整理を行ったうえで、住宅地価格に関する時系列的およびクロスセクショナルな面からの実証分析を行った。対象は関西圏であり、彦根市と西宮市、JR琵琶湖線沿線エリアと阪神間をケースとして取り上げた。
 実体経済の代表変数であるGDPの動きとの関係では、関西圏は同時期から1年程度のリードをもって住宅地価格が変動していくことを時差相関係数による分析で明らかとした。続いて、住宅地が属する特性が当該住宅地価格にどの程度影響を及ぼすのかを、HVM(ヘドニック価値モデル)を特定化することで定量化した。その結果、両市・両エリアは同じ関西圏に属しながら、住宅地価格形成要因において共通するものとそうでないものが判明され、各要因の価格への影響度が把握できた。これらの結果により、両市の空間的位置関係が大きく影響することで、住民のライフスタイルや価値観が異なる可能性が示された。
 また、本学二宮健史郎教授との共同研究では、貸し手のリスクと経済金融構造の不安定性に関する研究を行い、実証分析パートを担当した。日本および韓国のマクロデータを用い、不安定性要因を直接定量化したうえでVAR(ベクトル自己回帰)モデルに導入することで分析を進め、センチメント要因の重要性を主張した。
結果発表
 1.結果発表の時期 
 H22年4月には彦根市と西宮市の比較をケースとした住宅地価格に関する定量分析を論文にて発表した。 さらに関西圏住宅地に対象エリアを拡大した分析を行い、その結果を学会の年次大会にて発表した。学会報告でのコメントを踏まえた論文はH23年1月に発表した。
 本学二宮健史郎教授との共同研究では、H22年10月に日本のデータを用いた実証分析に関する論文を発表し、H23年1月には韓国のデータを用いた実証分析に関する論文を発表した。他、ジャーナルに投稿中の論文を2本有し、うち1本はH23年7月に掲載される予定である。また、学会報告をH23年9月に予定している。
  2.結果発表の方法 
 〔雑誌論文〕
 得田雅章、「住宅地価格に関する定量分析 ―彦根市と西宮市の比較をケースとして―」、『滋賀大学経済学部リスク研究センターCRR Discussion Papers』No.J-13、2010年4月、pp.1-21.
 二宮健史郎・得田雅章、「「貸し手のリスク」と経済の構造変化、循環、及び不安定性」、『滋賀大学経済学部リスク研究センターCRR Discussion Papers』No.J-5、2010年10月、 pp.1-30.
 得田雅章、「住宅地の価格形成要因に関する一考察―関西圏のエリア比較をケースとして―」、『滋賀大学経済学部研究年報』第17巻、2011年1月、pp.55-93.
 Kenshiro Ninomiya and Masaaki Tokuda, (January,2011)'Structural Change and Financial Instability in an Open Economy', CRR Discussion Paper No. B-2, Shiga University, pp.1-20.
 【予定】二宮健史郎・得田雅章、「構造変化と金融の不安定性」、『季刊 理論経済』第48巻第2号、2011年7月
 〔学会発表〕
 得田雅章、「関西圏住宅地の価格形成要因分析―彦根市と西宮市、JR琵琶湖線沿線エリアと阪神間の比較をケースとして―」、日本金融学会秋季大会、2010年9月26日、神戸大学
 【予定】二宮健史郎・得田雅章、「Structural Change and Financial Instability in an Open Economy」、理論経済学会、2011年9月17・18日、立教大学
 
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