経済学部

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携帯電話と三者間通信を応用した情報取得装置の試作と基礎実験

経済学科 教授 谷口 伸一


 2004年より「いつでも・どこでも」を可能にする携帯電話を利用した観光・まち案内システムの開発と実証実験を行ってきた.観光ポイントに「携帯電話をかざして情報取得する装置(ユビキタスポストと名付けた)」の開発が課題であった。しかし、現状は携帯電話の仕様にブロックされ、携帯電話標準搭載機能を使う以外に本装置開発の選択枝がなく、2005年度はQRコードを採用した。ところが当時の携帯電話では、その操作性と読み取り性能に難点があった.2006年より「おサイフケータイ」が普及し始め、電子マネーを支払うように携帯電話を装置にかざすだけで情報が取得できる三者間通信による情報の「タッチ&ゲット」が可能になった。
 三者間通信用組み込みユニットが数種類商品化されたが、いずれもAC100V電源を必要とし、屋内仕様であった。ユビキタスポストで想定するどこにでも設置可能な要件を満たすには、防水性、屋外耐久性、AC100V電源フリー化が必須である。
 本研究は太陽電池で動作し屋外仕様を満たすユビキタスポストの研究開発の試作および試作機から電源変動の基礎データを計測して安定的な稼働に必要な条件を解明することが目的である。

2.プロトタイプの設計
 (1)通信装置
 三者間通信を可能にする非接触ICカードリーダ・ライタとしてNTTDoCoMo,AU,SoftBankの携帯電話で利用可能なRapiNavi(エム・フィールド社製)を選定した。同時に赤外線通信ユニットの応用可能性を検討するためPiMo(SPARKLEZ (株))も搭載することにした。

 (2)電源装置
太陽パネルは下の仕様を有するケー・アイ・エス製太陽電池モジュールGT833S-TFを選定した。
 

最大出力(Pm)    6.0W
最大出力 動作電流(Ipm)    0.37A
最大出力 動作電圧(Vpm)    16.4V
短絡電流(Isc)    0.40A
開放電圧(Voc)    20.4V
寸法(mm)    210*330*16
質量(Kg)    0.9


研究成果報告  (3)制御装置
 PIC(Peripheral Interface Controller)マイコンにより、人感知赤外線ユニット、発光ダイオード点滅、音声出力、効率的な電力充放電制御プログラムの開発を試みた。
3.プロトタイプの試作
プロトタイプを製作するための部品コストは334千円であった。しかし、認可された陵水学術後援会研究費は17万円であったため、本資金だけでは研究続行が困難であった。しかし並行して申請した(独)日本学術振興会による科研費基盤研究(C)「ユビキタス社会のエコミュージアム創成に関する研究と実践」が採択されたため、本資金を得て研究に着手することができた。
 プロタイプは写真に示すとおりである。外観は太陽電池パネルと装置筐体からなる。筐体内には2種類の通信装置、制御装置、鉛シールド電池(6V)等が内蔵されている。本筐体はヘッドユニットである。製作は(株)メック勤務(長浜市)、本学夜間主社会人学生3年宮崎克己君に依頼した。


研究成果報告 4.結果と課題
 (1)RapiNaVi通信装置:NTTDoCoMoのトルカデータを記憶させることで写真2のような画面が表示されることを期待していた。しかし、読み込みデータはいったん携帯電話のトルカフォルダに保存されることがわかった。したがって、利用者は携帯電話をかざしてデータ取得後、携帯電話のボタンを操作してトルカデータを表示させる複数ステップの操作が必要であり、URLの記憶と表示しかできないことが分かった。むしろAUの方が、解説情報が表示でき目的にかなっていた。この点に関して、NTTDoCoMoには改善を要求した。
 (2)赤外線通信:おサイフケータイでない機種での情報取得が可能になるとともに、記憶容量が30KBと大きく、画像をその場で表示させることができた。ただ、本装置は生産が打ち切られ、店頭設置用のみの生産となった。組み込むにはサイズが大きくまた高価であるため、RapiNaviとの併存はコストの面から困難であると判断した。今後は、NTTDoCoMoの改善を期待してRapiNaviのみを採用することにした。
 (3)太陽パネル発電:PICマイコンで電力制御するプログラムの開発が諸般の事情で間に合わなかったため、上記太陽パネルでの充電には限界があることが分かった。科学研究2年目の今年はこの問題解決に注力する。

結果発表
 1.結果発表の時期
 2009年度内に「ユビキタス社会のエコ・ミュージアム(仮)」と題して出版を考えている。
  2.結果発表の方法
上記のとおり。

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