経済学部

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滋賀大学保管歴史資料の活用と他大学ミュージアム・アーカイブス等の活動に関する研究

附属史料館  准教授 青柳周一

(青柳担当分)
本学術調査・研究助成により、東北大学史料館(仙台市)での施設見学と、同館で所蔵している史資料の概要調査、および同館学芸員への職務内容に関する聞き取り調査を行なった。 同館は、国内の大学アーカイヴズの中でもきわめて先駆的かつ組織的な活動を行なっていることで知られており、大学が保管する歴史的価値を有する史資料(とくに保存年限を満了した近・現代行政文書など、大学史関係資料)の活用方法について学ぶ上では、最も参考にすべき施設のひとつである。  近年、大学を取り巻く社会的・政治的状況は急激に変動しており、そうした中にあって大学はその存在理由やそれぞれの個性・セールスポイントなどを明らかにした上で、広くアピールする必要に迫られている。そのためには、これまで大学が機関として行なってきた研究・教育・社会的な営みについて幅広く再評価し、再検討する作業が必須である。このところ、国内の各大学において自らの歴史=「大学史」への関心が高まりつつある背景には、こうした事情が存在すると言えよう。 また、最近は東北大学史料館に代表されるような大学アーカイヴスを学内に設置して、学内行政文書の管理システムの効率化や、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)への対応をはかるとともに、歴史的価値を有する文書の保存・公開や大学史教育に積極的に取り組む大学が増えているという事実がある。 しかし、滋賀大学経済学部においては、上記のような観点からの取り組みはきわめて脆弱であるのが現状であり、このことが抱える問題点の大きさを改めて認識した次第である。 研究成果の一部については、「『滋賀大学経済学部大学史関係資料』の保存と公開について」(滋賀大学経済学部附属史料館『研究紀要』第40号、2007年3月)として公表した。
(阿部担当分)
本学術調査・研究助成により、大学史資料として、
1.彦根高等商業学校の同窓会である陵水会の所蔵資料を整理・分析し、
2.山口大学東亜経済研究所における山口高等商業学校の所蔵資料の調査をおこなった。 1.については、陵水会が現在所蔵する大学史資料の整理をおこない、目録作成が終了したその一部を「<資料紹介> 滋賀大学経済経営研究所調査資料室報12」(『彦根論叢』第363号、2006年11月)において公開した。旧制高等商業学校にはそれぞれに同窓会があり、さまざまな刊行物を発行していたが、そのうち現在保存されている分の目録が作成された例は管見のかぎりほとんどない。地域支部やゼミ別の部会など同窓会のさまざまなグループによる刊行物には、在校当時の懐古や卒業後の動向が記されていて、行政文書には記されていない校史の貴重な記録といえる。 また同窓会には、本来ならば学内の図書館や資料所蔵機関が保存すべきであるにもかかわらず散逸してしまった大学史資料があることが判明した。そのなかの1つである卒業アルバムを活用して、インターネット企画展「追懐の彦根高等商業学校-卒業アルバムを開く」(2007年2月5日~3月31日。http://mokuroku.biwako.shiga-u.ac.jp/2006kikaku/start.asp)を開催した。そこでは、彦根高等商業学校時代の彦根キャンパス、教官の肖像と研究分野、生徒の集合写真を展示し、彦根高等商業学校の時代をヴィジュアルにたどれるようにした。この卒業アルバムについても、資料紹介として『彦根論叢』誌上で2007年度に公表する予定である。 2.については、カードボックスに入っている図書カードをもとに、山口高等商業学校刊行物目録を作成した。山口大学東亜経済研究所ではこれまで、その母体となった山口高等商業学校が収集した旧植民地関係資料については大部の冊子目録を刊行していたが、その山口高等商業学校の刊行物についてはかつてつくられた図書カードのみとなっていた。それを目録化することにより、あらためて刊行物の全貌が把握できることとなり、山口高等商業学校の特色も明らかになるだろう。この刊行物目録とその解説は、2007年度に滋賀大学経済学部ワーキングペーパーにおいて公表する予定である。
結果発表
 1.結果発表の時期 平成18年度中に発表。
  2.結果発表の方法 青柳・阿部がそれぞれ、附属史料館『研究紀要』および『彦根論叢』に調査・ 研究結果を掲載。また、阿部によりインターネット企画展に活用。(上欄傍線部参照)


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