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近代日本における経済学-商業教育をめぐる調査研究

社会システム学科 教授 坂野 鉄也

  コロナ禍の影響を受け、2年の延長をいただいたものの今年度も当初の目的であった小樽商科大学および長崎大学経済学部への調査を実施することはできなかった。ただし、今年度を最終年度とするため、費目を振り替えて、全国の高商関係史資料の購入をおこない、文献による調査と彦根高商に関する調査をおこなった。
 史資料収集においては私家版等も含めて古書店で入手可能な高商史資料計33点を入手した。そのなかには、小樽高商に置かれた北海道経済研究所の調査報告書があり、高商における経済学・経営学の教育・研究の成果物を入手することができた。また、神戸高商を卒業し、上田貞次郎門下で日本における最初期の経営学を学び、後に経営学者の中心的な人物となった平井泰太郎が、神戸高商初代校長水島銕也の教育について論じた『水島銕也』(日本経済新聞社、1959)は、商学教育と経済学教育との関係を考える上で、貴重な情報を提供してくれるものである。その情報を公刊・公開された史料と照らし合わせることで、明治末から大正期という経営学勃興の時期の高商、とくに神戸高商における教育の変遷、それに対する校長や教官の意図を示すことが可能となると思われる。
 収集した史資料を用いた研究成果を公刊するには至っていないが、令和5年度春学期開講の全学共通教養科目「歴史からの問い:日本における経済学教育事始め」においてその一部を使用する予定である。
 なお研究協力者には、彦根高商調査課から今年で100年となる経済経営研究所に所蔵される資料の調査をおこなってもらった。高商における経済学・経営学教育・研究にかかわる資料を収集した調査課の状況から高商における教育内容を検討することを目的としたものである。この調査の成果は、令和5年度の「しがだい展示コーナー」における展示に活かされることになろう。
 総じて、今年度も当初計画とは大きく異なる方向となったが、研究を進めるための基盤となる史資料の収集・調査をおこなうことができた。


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