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Rediscovering modern and contemporary Japanese women's poetry

日本近現代女性詩史再考
Rediscovering modern and contemporary Japanese women's poetry

社会システム学科 教授 菊地 利奈

本研究は、ジェンダーの視点から日本近現代詩史を再考し、これまで男性詩人の影にかくれ正当に評価されてきたとはいいがたい女性詩人作品を(再)評価することを目的とし、日本国内に限らず世界の日本語文学読者や研究者に、日本語女性詩について発信していくことを目標とした文学研究である。 
2022年度の研究成果としての雑誌掲載物は、以下の通り。

  1. 「『女性詩』不要な社会を目指して」(思潮社『現代詩手帖』2022年8月号)
  2. 「伊藤整と左川ちか 翻訳と創作についての一考」(短歌ムック号『ねむらない樹』夏号)
  3. 「Where (x) (is) Why Diary: Jeju Island Fragments by Kyongmi Park tr by Jill Jones and Rina Kikuchi」(MVmedia, 『Languages of Water』ed. Eugen Bacon)
  4. 「『わたし/たち』が安全に語れる場所:『現代詩手帖』フェミニズム特集(2022年8月号)が果たした役割」(『彦根論叢』434号)
  5. 「対談 川口晴美×菊地利奈 対話と連帯―嫌なこと、されたくないことは自分が決める」(『現代詩手帖』2023年2月号)

出版物としては、2007年から続けていた左川ちか研究の一環として、『対訳 左川ちか選詩集』(菊地利奈編、菊地利奈+キャロル・ヘイズ訳、2023年3月)を思潮社より刊行した。

学会発表としては、1.International Comparative Literature Association Congress (国際比較文学学会世界大会、2022年7月、トビリシ国立大学開催)にて、パネル「Narrative, Nation, and World: Contemporary Women's Writing from Japan」を組み、「Poetry as a Means of Survival: Why Do We Still Need "Women's Poetry"?」と題し、現代女性詩人の作品に着目した研究発表をおこなった。
2.2022年9月にオーストラリで開催された国際詩祭Poetry on the Move(キャンベラ大学主催)で、「Manoeuvres with Translation」にパネリストとして登壇、日本語詩史における現代女性詩人の位置について論じた。その他、2022年9月には、キャンベラで、共同研究社Jen Crawford氏と、深沢レナ氏の作品をつかった翻訳詩ワークショップを開催した(University of Canberra+ Belconnen Arts Centre 共催)。
国内では、2023年1月、日本文学研究者で翻訳者のJeffrey Angles西ミシガン大学教授を彦根に招き、ワークショップを開催。同月、岡山県にある戦前・戦中・戦後を通して活躍したパイオニア女性詩人である永瀬清子の生家にて、Angles氏と菊地のふたりで永瀬詩の日英バイリンガル朗読をおこなった。 永瀬清子生家HPに、 「清子作品を日英バイリンガル朗読」 として記事がまとめられている。
年度をまたぐ成果としては、共同研究の成果として、詩人Melinda Smith氏との共訳をオーストラリアの詩誌に投稿、掲載が決定している。また、2023年8月にベルギーで開催されるEuropean Association for Japanese Studies(ヨーロッパ日本研究協会)Conferenceにて、発表が受理されている。
また、上記研究成果をもとにして申請した科研費研究「世界文学の中の女性詩―戦争、暴力、フェミニズムを巡る総合的日本近現代女性詩研究」(基盤研究(C) 2023年度新規)が採択された。2022年度中に、多くの成果があげられ、また、新しい国際共同研究をはじめられたのも、本助成があってこそである。この場をかりて御礼申し上げるとともに、来年度以降、さらなる研究の発展に尽力したい。

結果発表

1.結果発表の時期:2022年度中にすでに発表済み。2023年度にも引き継がれるものあり。
2.結果発表の方法:詩誌、学会誌、著作物、国際学会における発表等。


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