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Diversity in Contemporary Japanese Women's Poetry 現代日本語女性詩における多様性

社会システム学科 教授 菊地 利奈

 本研究は、日本国外にむけて、現代日本文学の動向を伝えるために、現代女性詩人に注目し、彼女らの作品を英訳し、対訳アンソロジーを編集して出版することを目的としたものである。日本の現代女性詩の翻訳は非常に限られており、翻訳の少なさが、国外での女性詩研究発展の障害となっている。日本の現代女性詩は非常にクオリティが高く、翻訳さえあれば、世界的評価が充分に得られる質のものである。多くの詩人の作品が英訳されることが、国際的な女性文学の研究の発展には不可欠であると考えている。
 本書は、2017年に出版した日英対訳アンソロジー『Poet to Poet: Contemporary Women Poets from Japan』(Recent Work Press)が、イギリスの詩誌『Modern Poetry in Translation』でレビューされたり、アイオワ大学の日本文学授業のテキストに使用されたりと好評であったことから企画があがった、日本現代女性詩対訳アンソロジー企画の第二弾にあたる。
 出版にむけて、収録詩を決め、科研(国際共同研究強化)研究ですすめてきた詩の共訳・共同研究を基盤に、オーストラリアの詩人との共訳をベースに、詩の翻訳作業をおこなった。菊地の共訳者として、Penelope Layland、Cassandra Atherton、Jen Crawford、Melinda Smit、Jill Jones、Jen Webbなど、オーストラリアの詩人たちがプロジェクトに参加した。また、明治大学教授で詩人の管啓次郎氏と菊地とで共催したMutual Poetry Translation Workshop に参加した詩人、Ellen Van Neerven や Niloofar Fanaiyan の訳詩も収録した。収録作品は、阿部比奈子、網谷厚子、新井高子、榎本櫻湖、石川逸子、柏木麻里、川口晴美、小池昌代、三角みづ紀、中村たまら、大崎清夏、ぱくきょんみ、新藤涼子、山崎佳世子の14名の詩人の詩篇。
 アンソロジーは『Japanese Women Poets in Translation』として、日英対訳でまとめた。アメリカ(Dusie出版)から出版予定であるが、日本国外で日本語の詩との対訳を出版することの言語上の問題から、版下作成を日本のデザイナーに依頼した。また、収録詩に関連する原発「もんじゅ」をアレンジした、日本の女性アーディストによる表紙を準備した。「女性による編集と翻訳による、女性詩人の作品集を」という出版社からの依頼に加え、なるべく多彩な作風を収録し、新人や実験的な作品もカバーできたことは、詩人のみなさんをはじめ、共同研究者の理解があってこそと感謝している。予定よりも出版が遅れてしまったが、現在、共編者のJen Crawfordと出版にむけての最終調整をおこなっている。
 陵水学術後援会学術調査・研究助成により、出版にむけた準備が整ったことに、この場を借りて心から御礼申し上げます。

結果発表

1.結果発表の時期:2020年8月頃
2.結果発表の方法:書籍出版


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