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20190425応用経済学セミナー

    •  日 時:平成31年4月25日(木)16:10~17:40
    •  会 場:セミナー室1(滋賀大学彦根キャンパス士魂商才館3F)
    •  分 野:応用経済学セミナー
    •  表 題:A Study of Cartel Behavior under Detection Possibilit-発覚の可能性を考慮したカルテル行為の経済分析-
    •  講 師:西脇 雅人 氏(大阪大学経済学研究科 准教授)  ☚クリックすると経歴が御覧いただけます。
    •  講演言語:日本語
    •  招聘担当:石井利江子 准教授
    • 講演ポスターはこちら➡ 20190425ポスター.

セミナー概要
 西脇雅人氏は実証産業組織論の第一人者であり、また私の知る限り、構造推定による実証分析に国内で最初に取り組んだ研究者のうちの一人です。
 今回、西脇氏に報告して頂いた研究「A study of cartel behavior under detection possibility(摘発の可能性の下でのカルテル行為の研究)」は、競争当局による摘発のリスクを意識したカルテル行為に関する実証研究です。この研究では、過去最大級の課徴金が課されたセメント市場の価格カルテルのデータを用いて、カルテルが摘発のリスクをどのように認識しているかを推定することに成功しています。
 西脇氏はまず同市場の価格が、全体としては独占価格よりはむしろ競争的価格の方に近く、特にカルテル時期の後半でその傾向が強くなっていることに着目しました。西脇氏はこの傾向が、カルテルが摘発のリスクを認識した上で価格を微調整していることを反映しているのではないかと考えました。
 そこで西脇氏は、カルテルの価格選択行動を、将来の摘発のリスクや摘発された際の課徴金も考慮に入れた動学的最適化行動としてモデル化し、同市場の価格や数量等のデータを用いて、カルテルが摘発確率をどの程度の大きさと認識しているかを推定しました。さらに、同氏が推定したパラメータと動学モデルを用いてカルテル価格を復元したところ、カルテルの開始とともに価格が上昇し、やがて低下する、という実際の価格の動きに非常によく似たトレンドが再現されました。
 私は、構造推定の研究報告を聞くのが大好きです。多くの場合、途中経過が難解ではありますが、誰にでも手に入るようなありふれたデータを使って、その背後に隠れた情報を引き出すことをゴールとする同手法は、まるで手品のような驚きに満ちているからです。今回の西脇氏の研究報告も、まさにそのような驚きに満ちた大変刺激的な研究でした。今回の研究は、3年ほど試行錯誤してこられたとのことで、その最新の結果を聞かせていただくことが出来ました。今年度初回のセミナーで、若手でありながらこの分野のパイオニアとして尊敬を集める西脇氏を報告者としてお招きできたことを、大変うれしく思います。

文責 経済学科准教授 石井利江子

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