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《ものひと地域研究会》ピープルデザインの描く「欲しい未来のつくり方」

須藤シンジ(ピープルデザイン研究所)

 ピープルデザイン研究所の須藤シンジさんに来学いただくのは、4回目となる。ワークショップとしては、2015年6月にお越しいただいて以来であった。したがって、ピープルデザイン研究所の活動については多くを繰り返さないが、障がい者やマイノリティの課題を解決する機能やサービスがあり、多様性や共生を促し、かつファッション性やデザイン性を備えたモノあるいはコトを生み出すために活動をしている。

 「欲しい未来のつくり方」と題した今回のワークショップでは、これまでのやり方を変えて、事前に受講者が須藤シンジさんのプロフィールや活動を学び、あらかじめ様々な質問を考えておいてから参加するという形式にした。

 加えて、これまでは、障害者の人も使いやすい、おしゃれな靴やレインコートなど「ものづくり」などの紹介があったが、そうした個別のものづくりではなく、ワークショップの主眼を、「こうあって欲しいと思う未来をどのように実現していけば良いか」という点においたものであった。言うなれば、ものづくりやことづくりはあくまで手段であって、目的ではないということである。

 その意味で、受講者にはあらかじめ、自分が考えるピープルデザインについても考えてもらった。受講生の考えたほとんどのことは、須藤シンジさんやあるいはそのほかの人によって既に取り組まれているものであったが、須藤さんのお話からは、既にやられているかどうかは重要ではなく、実現に向けて具体的な一歩を踏み出しているかどうかであるように感じた。

 現在、須藤さんは各地の中学や高校そして大学などで積極的に講演会を開催されているが、実はこのこと自身が須藤さんにとっての「欲しい未来」をつくるための手段になっているのだと思う。多少回り道であるように見えても、教育こそが彼の描く未来を実現するための最善の手段だと思っておられるのだと思う。

 須藤さんは講演会の中で繰り返し、今の日本の置かれている現状への危機感を訴えていたのが印象的であった。そして、学生には海外に出ることを推奨していた。海外から、日本の企業、政治、そして若者のみならず人々の働き方などを見ると、おそらくは大いに違和感を感じるだろうと思う。若者にとって、有効な具体的一歩は海外に出てみることなのかもしれないと思った。

(中野 桂)

講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子

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