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輝ける未来の社会人を目指して

生駒健二(エイベックス株式会社執行役員)

 報告者の所属するエイベックス株式会社は,難削材・異形材も精密加工できるトップクラスの切削・研磨技術を持つ企業である。人を大切にし,地域への貢献にも熱心で,最近では有料の工場見学に世界各国から訪問があることでも知られるユニークな会社である。 

 名古屋で創業し,その後三重県桑名市に工場を,岐阜県海津町に技術センターを設け,売上・従業員数ともに近年めざましく成長し,今年は70周年を迎える同社が,どのような考えでどのようなマネジメントを行っていたのかを,未来の社会人へのメッセージとともに,お話いただいた。

 報告者は,同社がこれまで「継続」できた理由として,「経営理念」をあげる。「私たちは、常に『良品を生産』することを追求し、社会にとって『役に立つ企業』として努力します。」という理念の中にどのような要素が含まれ,各要素がどのような意味があるのかを熟考した上で,従業員一人ひとりの行動に落とし込まれていることを,実例をもとに紹介した。そして,たとえ社長や従業員が入れ代わってもこの理念が指針になると説明した。

 次に,同社が「成長」できたきっかけとして中長期計画をあげ,報告者をはじめ若い社員たちが中長期計画立案に着手した当時のことを振り返る。将来のビジョンがあることで,前を向いて従業員が働けると考え,どのような会社にしたいかを懸命に思考し,それを全社に浸透させていったストーリーを語った。現在,戦略面では「国内工場で,世界のお客様に向けて仕事を行う」「地域の直接雇用にこだわる」の2点を重視しており,組織面では「次の社長は従業員から誕生させる」ことをめざしているという。また自動車業界が100年に一度の大変革の時期にあるといわれる現在,どう生き残りをはかっていこうとしているのかについても,お話いただいた。

 従業員の成長が企業の成長につながることを一貫して意識している同社であるがゆえに,新卒採用でも選抜段階で,履歴書など過去の実績は一切見ないという。一選抜が進んでいく中で応募者がどのように成長しているかを重視して採用しているという。

 以上は,すべて報告者自らの体験をもとに語られているがゆえに説得力があり,社会人としての考え方,仕事への取り組み方,会社のありかたなど,たくさんの示唆も盛り込まれており,参加者は熱心に耳を傾けていた。その後の質疑応答でも,参加者から活発な質問が出た。

(弘中史子)

講演会の様子
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