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持続可能な世界へ-ウクライナの祈り

カテリーナ(バンドゥーラ奏者、歌手)

今回の講演会では、SDGs(持続可能な開発目標)を念頭にウクライナ出身のカテリーナさんに、民族楽器バンドゥーラを奏でながらウクライナ民謡などを歌っていただいた。

講演会の形式としては異色であるが、開催の主旨は以下の通りである。

ウクライナと言えばチェルノブイリ原発事故のあった場所であり、我々はあの石棺に覆われた廃墟や当時事故処理にあたっていたマスク姿の作業員の姿は容易に思い浮かべることができる。しかしながら、ウクライナそのものに対する知識はあまりにも少ない。ウクライナはヨーロッパの穀倉地帯としても知られる豊かな緑と、深い歴史・文化を抱えるところである。そして今でもそこに多くの人が暮らしている。

同じことは福島にも言えるかもしれない。爆発した原発の映像は鮮明に思いだせても、それ以外の福島をどれだけの人が知っているだろうか。

そこで、今回の講演会ではまずはそうしたウクライナの豊かな文化や生活を知ることを主眼とした。そうした理解のもとに、あらためてチェルノブイリ原発事故のもたらした被害の大きさが浮き彫りになると考えたからである。

当日は、カテリーナさんによる民族楽器バンドゥーラの紹介や、ウクライナの観光局が作った紹介映像の上映も行なった。

今回の講演会で印象的だったのは、カテリーナさんが語ってくださったチェルノブイリ事故以降のご自身の体験である。生後1ヶ月で被災したカテリーナさん自身は事故直後の記憶こそないが、少し大きくなってからの避難先で生活についてはよく覚えていた。被災者の子どもだけに配布される追加の食料品は、そうした配布を受けられない子どもたちとの間に軋轢を生んでしまったことなど、率直に語ってくださった。

原発事故は、そこに暮らす人々の仕事や住まいを奪うだけでなく、人間関係や、歴史、文化なども破壊する。原子力発電所は「持続可能な世界」にはなじまない存在であると、ウクライナの美しい調べを聴きながら改めて感じることができた。

(中野 桂)

講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子

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