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ラトビア語における動詞接辞とアスペクト

堀口大樹(岩手大学人文社会科学部准教授)

     エストニア,ラトビア,リトアニアはバルト三国とも呼ばれ,1990年代前まではソビエト連邦の中に含まれていた国々である.その後,分離独立した三国は,それぞれの民族の言語であるエストニア語,ラトビア語とリトアニア語を国家語として指定し,民族のアイデンティティを高めるものとしている.今回はその中でもラトビアで話されているラトビア語(Latvian)の研究者である,堀口先生をお招きし,ラトビア語の動詞接辞とアスペクトについて,講演をしていただいた.

     ラトビア語は,印欧語族のバルト語派に属し,同語派に属するリトアニア語と似ている言語である(エストニア語は,フィンウゴル系の言語であり,隣国であるが,文法は完全に異なる).文法的には,名詞の性(男性と女性)を持ち,格標示(主格,属格,与格,対格,具格,呼格)を持ち,形態論的には生産的な語形成を持つ言語である.

     ラトビア語の動詞には,ドイツ語やロシア語,そしてハンガリー語に観察されるような動詞接頭辞が複数存在し,その動詞接頭辞が空間的意味を示すとともに,時間的意味,とりわけアスペクトに関与する.動詞接頭辞とその用法,さらに動詞接頭辞がカバーするアスペクト意味とヴァリエーションに関して,実際の用例を示しつつ,その原理を説明された.

     私(野瀬)は,ハンガリー語の研究もしており,ハンガリー語にも動詞接頭辞があり,その用法はラトビア語と類似していることが判明した.加えて,ラトビア語の動詞接頭辞には,ハンガリー語の動詞接頭辞とは異なる振る舞いもあり,その違いを説明するにはどうしたらよいかは,考察する必要はあるだろう.アスペクトの意味用法についても面白い例を紹介していただき,非常にためになる講演であった.

    野瀬昌彦(社会システム学科 准教授)

    講演会の様子
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