山口高宏(メラネシアンツーリストサービス)
日本のほぼ南に位置する赤道直下のニューギニア島は,生物的多様性や言語的多様性に富んだ地域であり, グリーンランドの続く,世界で2番目の島である.今回の講演会は,地球最後の秘境と呼ばれるパプアニューギニアで, その地域では唯一の日本人として働いていらっしゃる山口さんに,海外で働くことの良い点や大変な点, そしてパプアニューギニアの魅力について講演をしていただいた.
ニューギニア島は,西半分が西パプアと呼ばれるインドネシア領であり,東半分とその周囲の島々がパプアニューギニアに属する. パプアニューギニアは日本の土地面積の1.2倍であり,その中に600万人の人々が住んでいる.パプアニューギニアは, 800もの現地語が存在し,世界の言語の13パーセントが話されている.私(野瀬)は,その800言語の中で, パプアニューギニアのマダン州で話されているいくつか現地語を10年に渡り,調査している.私がパプアニューギニアで調査する際, 山口さんが働いているリゾートホテルに滞在している.
山口さんは,マダン州の州都である人口4万人の町マダンにあるリゾートホテルで,マダンの唯一の日本人として現在働いている. マダン州は海の方はきれいなサンゴ礁が存在するスキューバダイビングの名所であり,山の方はジャングルや蝶など自然に富んだ場所であり, さらに歴史的には第2次世界大戦において戦場となっており,日本軍の遺跡や遺物が今も存在する. 山口さんは,主としてマダンを訪問する日本人観光客の案内やスキューバダイビングのツアーを実施するとともに, 英語を介して他の国の観光客のお手伝いもしている.仕事自体はハードであるが,もともと海外で働きたいと考えてそのキャリアを実現し, パプアニューギニアでお客さんを案内することに喜びを感じるとのことである.
最後に,出席した大学生へのメッセージとして,大学時代のうちに好きなことをきわめて,若いうちに挑戦することを強調された.
(文責 社会システム学科 准教授 野瀬昌彦)