第2回「新しい山中漆器とリデザイン」~伝統工芸産地の再活性化について考察する~
開催日 2018年12月3日(月)
講 師 我戸正幸氏 株式会社我戸幹男商店代表取締役
内 容
経済学部地域連携教育推進室では、学生に従来の座学だけでなく、企業や行政と共同で地域が抱える問題を共有し、課題解決を行うことで、実践知を獲得する機会を提供することを目的に講演会を開催しています。
今回は、12月3日(月)に株式会社我戸幹男商店(石川県加賀市)の代表取締役我戸正幸氏を招聘して開催しました。本講演では、我戸氏に山中漆器の歴史や製品開発のプロセス、また成功する製品開発のあり方-この考え方がリデザイン-についてご講演いただきました。
日本の古くからある伝統工芸産地の多くは現在苦境を迎えています。バブル期を絶頂に現在では産地の存続自体が危ぶまれることも少なくありません。消費者ニーズの質的変容や少子化の影響で地方の労働人口自体が減少していることもその大きな原因となっています。このような状況の中で、同社は新しい山中漆器を開発し、国内だけでなく、アウトバウンドでも大きく売り上げを伸ばし、さらに海外でもその優れたデザインや技能で多くの賞を受賞している稀有な企業です。
我戸氏の事業継承時より数々の失敗を重ね、売れる商品を開発できるまでのストーリーは非常に新鮮かつ具体的で、学生も講演の内容にとても引き込まれたようで、「伝統産業の素晴らしさを理解できました!」「製品開発の難しさや面白さを実感できました!」「実際に山中漆器を見学したい!」など、肯定的な意見が目立ちました。
本講演を契機に学生は伝統産業が抱える問題について広く学習すると共に、製品開発の困難さや面白さについても具体的に学習でき、非常に盛り上がった講演会となりました。