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授業レポート 不登校プロジェクト2021 春「多様な学びのあり方を学び、居場所づくりを考えよう」 秋「教育の多様性を学び、議論しよう」

不登校と多様な学びの今を学ぶ

びわ湖東北部地域連携協議会事業の一環として、2021年春・秋学期にそれぞれ不登校プロジェクトとして授業プログラムを開講しました。

このプロジェクトは不登校や隠れ不登校の増加がひとつの社会問題とも言われ、それに伴い公教育の在り方や公教育以外の選択肢としてフリースクールやオルタナティブスクールも注目されてきていることから、学生が自身の経験をベースにこれからの社会を考えるきっかけになることを期待しました。


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授業では彦根市でフリースクール「てだのふあ」を運営する山下吉和さん、本学教育学部卒業生でフリースクール「Since」を運営する麻生知宏さん、生鷹幹太さん、門脇真斗さん、愛知県でデモクラティックスクール「まんじぇ」を運営する今井恭子さんを招き、リアルな現場の様子、子どもたちの姿や彼らの進路、これから必要な教育のあり方などを学び、学生らから率直な疑問や質問をしたり、意見を交わしたりしました。

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「不登校」状態にある子どもたちとは言え、はっきりした理由はないけれども学校に行きたくなくなった子どもたち、エネルギーが足りず他者との関わりができなかったり、自分で決められない子どもたち、積極的に公教育以外の教育を選ぶ子どもたちなど、授業を通して様々な子どもたちがいることを知り、また彼らにとって居心地のよい場所を作り出そうとしている大人の姿を間近で見せていただくことができました。果たして学生たちにはどう映り、何を考えたでしょうか。

授業ではゲストからの学びだけではなく積極的に議論もしました。例えば「教育って誰のためのもの」「学生は社会人か」「寄り道や道草は必要か」「居場所ってどんな所」などの正解のない問いを投げかけ学生と教員がともに議論をして考えを深めました。例えば、「寄り道」を話題にした授業では、将来に向かって進んでいく道があって、その幅を広げるために寄り道が必要だとか。寄り道も含めて大きな道を歩いているといった意見や、今やるべきことに押し潰されそうだから寄り道ができないとか、いろいろな返答がありました。

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地域連携教育推進室では、社会を切り拓いていくアントレプレナーシップとして「聞く力」「考える力」「伝える力」の向上を目指していますが、このプロジェクト科目でも同様です。一方的に知識や情報をインプットするだけではなく、それらを自らの経験や既知の情報と組み合わせて自分の意見として再構築する。そして伝える。この授業を通して、学生らが義務教育や高校で学んだ価値観を揺さぶり、バージョンアップしていくことを大事にしました。

一方、この不登校プロジェクトでは大学内で実際に居場所を開設していくことも想定していましたが、新型コロナの影響や未知の大学という場所へのハードルは高く、利用希望者がなかったことから今年度は居場所の開設には至りませんでした。しかしながら、不登校プロジェクトの一環として地域の居場所情報を掲載した「ひこねの居場所」ウェブサイトは、長浜市の居場所運営者さんとの連携で長浜・米原地域の情報も掲載したウェブサイトとしてバージョンアップできましたし、居場所情報の冊子版の発行にも協力をすることができたことは、今後につながる成果です。


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「ひこねの居場所」ウェブサイトへのリンク

不登校プロジェクトの授業を通じて、多様な学びの必要性を理解できる学生が増えてきました。また、居場所のウェブサイトでは、支援者側の情報発信や収集に役立つことに加えて、居場所を求める人からサイトが役に立ったとの声も聞くことが増えてきました。居場所運営者からは、不登校やフリースクールなどの多様な学びの場所同士をつなぐハブとして大学が活動を展開してほしいとの声もあります。これからも必要とする多くの期待に応えられるような取り組みをしたいと考えています。

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問合せ:地域連携教育推進室 0749-27-1348