令和7年度企画展 史料館新営30周年記念
「花押×データサイエンス -国宝「菅浦文書」への挑戦-」
会 期:10月14日(火)から11月14日(金)
開館時間:9:30~16:30
休 館 日 :土・日・祝日(ただし11月1日(土)は関連講演会開催のため開館)
場 所:滋賀大学経済学部附属史料館1階展示室
そ の 他:観覧無料
経済学部附属史料館で保管されている国宝「菅浦文書」については、2021年度より科学研究費助成事業「中近世「菅浦文書」の公開促進と史料学的・文理融合的研究」の採択を受け、科研グループによる共同研究を行ってきました。今年度はその研究事業の最終年度であり、また史料館が独立棟として開館してから30年目という節目の年でもあります。これを記念し、企画展「花押×データサイエンス―国宝「菅浦文書」への挑戦」を開催いたします。
文書の差出人は自身の名前を書き記すことによって、その文書を自らが発行給した文書であることを示してきました。やがて名前は草書で書かれるようになり、さらにデザイン化されていきます。そして名前とは直接関係のない独自のサインが使われるようになると、それは「花押(かおう)」と呼ばれるようになりました。花押とは10世紀頃に始まり、現在まで続くサインの一種です。
滋賀大学経済学部附属史料館のほこる古文書と滋賀大学が力を入れるデータサイエンス。古文書の理解にデータサイエンスの力を利用できないか。当展はその最初の試みを一般公開するものです。国宝「菅浦文書」は全1282点からなり、879個の花押が記されています。その内の75個は花押のみが記されており署名した人物が不明です。これらの花押を誰が署名したのか特定することも共同研究の課題でした。そこで「菅浦文書」に記された花押をすべてデータ化し、参考データとして東京大学史料編纂所が公開している花押データベース「花押彙纂」の提供も受け、この課題へのアプローチを試みました。どの花押同士が似ているのか、また、これまで人名不詳だった花押が誰のものかを近似の花押から探ることができるのか――その解析の過程と成果を展示でご紹介します。ぜひご覧ください。