経済学部

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20191114マクロ経済学セミナーを開催いたしました。

 講演概要

池田新介氏はご専門が行動経済学、資産価格理論、マクロ経済学であります。今年度セミナーの7回目にあたる今回はマクロ経済学セミナーのカテゴリで、「誤行動が予測できる時間割引課題とできない課題-サーベイ実験」について、氏の研究成果をご披露頂きました。

 行動経済学は2002年、2017年にノーベル経済学賞でフィーチャーされた分野であり、プロスペクト理論といえば耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。私を含め経済学者の多くは、「合理的経済人」を前提とした人間行動をモデル化して分析します。ただ現実にどこまで本当に合理的かというと疑わしく、氏に紹介いただいたマシュマロテストやくじ選択課題では、ある種のバイアスがかかっているという事実がロバストであること紹介頂きました。時として非合理な行動をとる経済主体を心理学の観点から分析する行動経済学には、ある意味閉塞状況に追いやられている経済学の現状を打破する可能性を感じました。

 また、報告では割引率の定量化について詳述されたのが印象深かった。私が慣れ親しんでいるマクロ経済学(例えば効用関数)では、割引率は定数でアドホックに扱われる場合が多く、ある意味脇役です。それを実験によって納得できる形で数値化できるというのは新鮮な驚きでした。

 氏に質問させて頂いたのですが、状況によっては全く異なる効果が得られるという知見を、金融政策のアナウンスメント効果(フォワードガイダンス)に応用できないかと考えました。市場との対話をより効果的にナッジ(誘導)することで、もはや効果がないと見られている現政策改善の一手になるのではと思いました。

 来学された氏は、大学生協で彦根にまつわる書籍を手に取り、士魂商才館の展示に興味深く魅入られる等、とても彦根や近江に造詣があるようでした。またセミナーでは、フロアからの鋭い質問に真摯に答えようと沈思黙考される様子が印象的だった。 

文責 得田 雅章(経済学科 教授)

講演会の様子
講演会の様子