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熟練野球選手のグラウンダー捕球における運動制御機構の解明

経済学部 特任講師 小倉 圭

【概要】
スポーツ現場では、「認知・予測に基づいた運動制御」や「対応力」といったオープンスキルが求められる。本研究は、熟練野球選手のグラウンダー捕球における運動制御について、ステップ位置の調節という観点から解明を試みるものである。
【実施方法】
大学野球選手や社会人トップレベルの野球選手18名の守備動作を複数の高速度カメラを用いて撮影し、3次元動作分析法により解析を行った。得られたパフォーマンスデータやキネマティクスデータを技能レベル間で比較・分析することで、熟練選手の運動制御方略を明らかにした。
【経過】
現在、18名の選手について正面の打球に対するステップ調節方略を明らかにすることができている。今後は様々な打球方向に対する分析や得られた知見に基づいた指導法の開発に向けて、データの追加収集が必要である。
本研究の主な成果は、以下の二つである。

(1)野球における内野手のグラウンダー捕球においては、最適な捕球地点の獲得のために捕球の4 ステップ前から1 ステップ前の間で接地位置の修正が行われ、最終ステップでは再現性の高いステップが行われていることが明らかとなった。
(2)安定した捕球地点を獲得し捕球ミスの確率を減らすためには、捕球1 歩前の接地位置のばらつきを小さくすることが重要であることが明らかとなった。そのために、早い段階で接地位置の前後方向の誤差情報を感知し捕球1 ステップ前のステップ長をどの程度調節するかを判断することの重要性が示された。
実践現場への示唆として、グラウンダー捕球の指導においては、捕球時の姿勢や動作改善を目指すとともに、捕球地点をすばやく予測する能力やそれに伴うステップ調節能力を向上させるトレーニングも併せて行うことの重要性が示された。また、打球が放たれたらすばやく打球との距離を縮め不必要なバウンドを減らすことが、最適な捕球地点を予測するための1つの方略として有効である可能性が示された。
図 1 捕球動作における各歩の接地位置SD

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