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近代製麻業展開過程の研究―近江麻布並びに帝国製麻の事例を中心に―

経済学科 教授 筒井 正夫

 滋賀県の特産物である麻布は、特に湖東地方を中心に、近江麻布・上布として近世・江戸時代から農家副業として麻綛作り、麻布織布、そして晒業が盛んに行われた。原料の麻は地元産を用い、さらに関東の群馬・栃木県地方や北陸の福井・富山県等から原料糸を移入して織布を行った。
 こうして作られた近江麻布は、高宮に集散されたり、京阪・近畿、中京、東海、東北地方にまで船舶等で運ばれ、販売された。そうした原料仕入れと製品加工並びに販売を行っていたのが近江商人である。
 今回は、福井県立図書館等に所蔵されている北陸地方の麻布業に関する文献資料調査と、国会図書館に所蔵される明治初期の近代的麻布産業への転換に関する文献資料の調査を実施した。
 福井県立図書館等への調査では、北陸地方の麻布関連文献の調査と共に福井県統計書による同県の明治初期の麻布生産状況を調査した。
 さらに2度目の出張である国会図書館での調査は、明治初期の滋賀県における近江麻糸紡織会社(後の帝国製麻株式会社)の設立に尽力した吉田健作に関する資料を中心に、その内容把握に努めた。
 現在、これらの調査結果と滋賀県に残されている麻布業に関する史料とを突き合わせながら、近世から近代に至る麻布業の展開過程の把握に努めている。その成果の一旦は、平成30年7月21日の「企業家研究フォーラム」において発表する予定である。


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