経済学部

TOP経済経営研究所(ebrisk) ≫ クリスティーナ・ヴァツロヴァ&大嶋義実デュオ・コンサート「ハプスブルク残照~モラビアの草原を渡る風のように~」

クリスティーナ・ヴァツロヴァ&大嶋義実デュオ・コンサート「ハプスブルク残照~モラビアの草原を渡る風のように~」

クリスティーナ・ヴァツロヴァ

(チェコ ヤナーチェク音楽アカデミー助教授・京都市立芸術大学研究員)

大嶋義実

(京都市立芸術大学副学長・教授)

水野雅子

(京都文教短期大学非常勤講師)

 7月10日14時30分から16時、チェコ、ヤナーチェク音楽アカデミー助教授・京都市立芸術大学研究員クリスティーナ・ヴァツロヴァ氏と京都市立芸術大学副学長・教授の大嶋義実氏によるフルートのデュオ・コンサート「ハプスブルク残照~モラビアの草原を渡る風のように~」が講堂で開かれた。フルートデュオ曲に京都文教短期大学で教鞭を取る水野雅子氏のピアノ演奏も挟まれた。講堂の音の響きとレトロな雰囲気に魅せられた大嶋先生は、約10年毎年異なるテーマのもとにプログラムを組み、演奏と同時にわかりやすい講演によって、大学内外にファンを生み出していた。ところが、講堂が耐震診断により危険建築物とされて使用禁止となって以来(2015年3月の大嶋先生とプラハ音楽アカデミー教授・チェンバロ奏者トゥーマ氏のデュオの中止が、講堂使用禁止の始まりとなった)、工事終了後もコロナ禍で、人が集まる企画は実施できないままだったが、7年の時を経た本コンサートが講堂再生を期するものとなった。

 コンサート前半は、ハプスブルク帝国時代が扱われた。19世紀のフルート奏者・作曲家ドップラー兄弟による「プラハの想い出」が聴衆をプラハへ誘う。音楽を愛するプラハは他の地で不遇だったモーツァルトを、温かく受け入れたが、続き聴衆はその歌曲『ドン・ジョヴァンニ』と『魔笛』のアリアの軽快なメロディを楽しみ、その後、ヴァツロヴァ先生の出身地モラヴィアの作曲家ヴラニツキーによる、聞く機会が少ない「6つのフルート二重奏曲集」が演奏された。前半はドップラーの「ハンガリー小二重奏」で閉じられた。

 後半はドップラーの「アンダンテとロンド」で再開。後半の中心は、帝国解体を経験したマルティヌーによる「二本のフルートのためのディベルティメント」。マルティヌー28歳の時、チェコはハプスブルク家の支配から独立を果たしたが、程なくナチスに蹂躙され、反ナチの立場から作曲を続けたマルティヌーはゲシュタボに追われアメリカに亡命、晩年に書かれた本作品は、その人生を語っている。プログラムの最後には、ベッリーニのオペラ『夢遊病の女』のテーマをフルート用に書き換えたドップラーの作品が演奏され、ハプスブルク家統治下のスペイン生まれの歌手パッティの思い出に捧げられた、超絶技巧を盛り込んだ本作品が華麗にコンサートを締めくくった。拍手に応え、「プラハの想い出」がアンコール演奏され、聴衆は最初に聞いた曲を改めて聴くことで異なった豊かさを感じながら、帰路についた。大嶋先生が、ハプスブルクの歴史、社会、文化について、演奏曲と絡めてわかりやすく解説されたため、深い学びの場が提供された。 

 工事以前の講堂で楽しめた、澄み切りながらも温かく優しく包み込まれるような音が損なわれてないか心配だったが、以前よりも音が良くなったとすら思え、講堂の今後が楽しみである。最後に産学公連携推進機構、経済経営研究所のみなさんの助力に心から感謝したい。

(経済学部教授 真鍋晶子)

講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子
講演会の様子